なぜ家族にも回復が必要なのか?

依存症者の回復には、その家族がどのように依存症者と関わっているのか、そして、その関わり方がどのように変化していくのかが大きく影響します。

依存症の第一相談者は家族

セルフ・サポート研究所は現在まで3000件にのぼる依存症者の回復支援に関わってきました。その経験を通して言えることは、依存に関する第一相談者は、日本では圧倒的に家族であることが多いということです。そのため依存症者本人が回復の場(中間施設や自助グループ、精神病院など)に登場するためには、家族の協力が不可欠となります。世界的に見るとこれは日本だけではなく、アジア各国に共通している傾向のようです。

 

家族は疲弊している

しかし依存症者の家族の多くは、依存症者と同様に精神的にも肉体的にも追い詰められており、混乱の日々を送っています。依存症者が作った借金、暴言、暴力、脅迫的な態度、さらには犯罪加害者になりうる危機意識に日常的にさらされているケースも多くあります。

そのうえ「子育てに失敗した」という自責の念のために周囲から孤立し、世間体を気にして隠れて行動することが多くなり、恥や罪の意識で問題をさらに混乱させてしまっています。

 

まずは家族が混乱状態から抜け出すこと

そのような混乱の渦中にある状態では、家族自身が依存症者本人を回復につなげるための適切な対応や援助を行うのは不可能です。そこで、依存症者に対する回復援助を行うときには、依存症者本人に深く関わってきた家族がまず、混乱状態を整理し、依存症についての正しい知識を身につけることが先決となります。

 

共依存からの脱却

依存症者と家族の関係は、表面上は反発しあいながらも実質は、強力な磁石のように引っ張り合う「共依存」(支配と依存)の関係に陥っている場合がほとんどです。依存症者が引き起こす問題に振り回され、主体性を奪われ尽くしているにも関わらず、依存症者から離れられないという現象は「共依存症」とも言われます。こうした場合には、まずは家族自身がその状態から回復するためのプログラムに取り組むことが必要です。

 

家族にも自分自身を見つめ直す場が必要

家族が自立した人間として依存症者本人に対して適切な対応ができるようにならない限り、依存症者本人の回復は難しいです。依存症者と同じように家族たちも、自分の依存対象である依存症者本人から一時離れて、場合によっては住み慣れた家や土地を離れ、自分自身を見つめ直す内省の場としての「家族の居場所」が必要となるのです。

依存症者は依存症者たちのなかでプログラムに取り組み、家族はやはり同じような立場の家族たちのなかでプログラムに取り組む。それぞれが別の場所で回復のステップを踏み、お互いに「しらふ」になれたときに、今度は自立した人間同士が再び家族として関係を作り直していくステップに進む。

このようなプログラムのあり方が理想であるという確信をもち1996年7月にセルフ・サポート研究所を設立し、20年以上の年月が経ちました。

この間、たくさんの依存症者本人とその家族の回復の過程に立ち会ってきましたが、親と子の縦のつながりのみならず、夫婦やきょうだいという横のつながりの関係までが改善されていく姿をいくつも見せて頂けたことが、セルフ・サポート研究所の力の源となって今日に至っています。

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家族は被害者でも加害者でもありません。支援者です。私たちは依存症の当事者とその家族の方を応援しています。

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家族の働きかけで当事者を治療につなげていきましょう

当事者の回復には次のことが欠かせません。

家族が依存症の正しい知識を学ぶこと
家族が当事者に対する適切な対応を学ぶこと

家族の薬物・アルコール・ギャンブルなどの依存症に対し、どのような対応ができるかを学ぶためのハンドブックを無料でダウンロードできます。